
スティーブ・ジョブズ/ダニー・ボイル監督
終始自分の都合ばかり並べる口論ばかりの展開。一応筋はあるが、普通にジョブズのことを知っている人は、まあ、そんなもんかな、という歴史はなぞってはある。面白い映画ではないが、恐らく演技合戦として楽しむ映画なんだろうと思う。モノマネでジョブズやウォズニャックを見ている訳では無いのだけれど、段々とそれらしい感じは掴めてくる。元奥さんと娘の関係なんて、こんな感じだったのかな、という興味くらいは満たされるかもしれない。
アップル社やジョブズという人物は、確かにアメリカ的で宗教的な象徴という気はしている。これを凄いというのは、それはそうかもしれないが、個人的には極めて疑問だ。自分の都合を正当化し、非常に危ない線上を綱渡りのように渡りながらカリスマになっていくというのは、僕なんかにはどうにもなんだかな、感がつきまとう。でも、それだけわがままでダメな人間だったからこそ、強烈にその個性を生かして成功することが出来たのかもしれない。特に才能のない人間であっても、はったりで成功することができたという事実は、ある意味で人々に希望を持たせるものかもしれない。まあ、身近で付き合うのはまっぴらごめんだけれども。
結局ジョブズは単なるバカか愚か者にしか見えない。さらに強烈に嫌な性格の駄々っ子だ。まあ、賢い人間だったとは思えないが、心に深い傷のようなものを抱えて生きていただろうことは見て取れる。結局はそのことに自分が囚われて、数奇な人生を送ったということになるかもしれない。成功者だが、何かちっとも楽しい訳では無い。周りの人間に助けられながらも、まわりの人間を傷つけて生きていくより他に無い。しかし同時にそれが、本人をスターに押し上げていくわけだ。でもまあ、本当は家族が欲しかったのかもしれないですね。さびしんぼう世にはばかるという、普通の感情の持ち主だったという結論になるんだろうか。