
ショート・ターム/ダスティン・ダニエル・クレットン監督
日本語でいうと青少年の一時預かり施設での出来事を綴った作品。親の問題か子の非行などの問題で、短期間更生か何かを目的に子の方を預かる施設があるようだ。麻薬や心の傷や家庭環境などに問題があって、犯罪に手を染めたり自殺の恐れがあったり人間関係そのものが上手く構築できない十代中旬から後半の子が多いようだ。そこで職員として働いている者も、この施設出身者であったりするようで、それぞれ子供たちには問題があるにせよ、働いている人間にも引き続いて心の問題は残っているような感じである。むしろ共感があるからこそ親身になってお互いのコミュニケーションが取れるということもあるのだろう。
有名な俳優が出ている訳でもないし、会話がだらだら続くような地味な展開でありながら、それぞれが深刻な悩みに苦しんでいることが見て取れる。僕は個人的にはこういう分野とのかかわりが無いではない仕事をしているので、映画的な展開には鼻につくようなところはあったのだが、まあ、基本的にはこのような問題に対して、真摯に向き合ったつくりにはなっていると思われた。多少主人公の苦しみ方が身勝手に見えないことも無いが、そう言う偏見はアメリカ人的な心の弱さということかもしれない。
楽しい映画という訳では無いけれど、表面的に表しにくい心の葛藤は、自己主張の強いアメリカ人も抱えていることは見て取れる。虐待などの暴力においては、親子の間では長期にわたるし、お互いの依存度も高い訳で、第三者が簡単に割り込めない問題ということはある。しかし、第三者だからシビアに引き離す手助けが出来るということも同時に言えて、社会的な保護というような政策無しに、物事の解決は難しいと思う。そういう啓蒙であるとか、広く理解を求める上では、有用な映画であるかもしれない。もっともこれは当事者にとっては、やはりそんなに簡単に施設に入れられる理由にして欲しくない問題かもしれないけれど。
しかしまあ現実的には、これらの暴走は、そんなに簡単には肯定できるものでは無かろう。大人は無理解に見えるが、その距離があって当然とも思う。ただ壊れた人間関係のループに陥っている家庭に戻ることは、やはり危険が多すぎるということなのだろう。映画的に特に優れている訳では無いと思うが、もっと関心のもたれていい問題であろう。