かわせみ側溝から

志は低空飛行 

怖い映画5本



 僕はホラー映画はあんまり得意じゃなくて、そんなに進んでみる方ではない。だから一般的にホラーが好きだという傾向とはたぶん違う意味になるとは思う。けれど、映画というのは怖いのも娯楽であって、怖がりながら実に感心して満足するようなことがある。今回は、そういう意味で僕が怖がったお勧め作品を紹介する。
 一つ目はスティーブン・スピルバーグ監督の「激突」である。子供の頃にテレビで観たのだが、途中でかなり震え上がった記憶がある。訳が分からないが恐ろしい。そうしてスリル満点である。まだ、映画がどういう具合に面白いのかという事を考えていなかった時代だったと思うのだが、この映画はある意味で、僕が映画を観ている価値観の一部になっている可能性がある。大型トラックが恐ろしいというのは、いわゆる憑き物としての恐ろしさがあるんだと思うが、しかし、やはり乗っているのが普通の人間だったりすると、実はその方が怖いような気がする。そういう意味でも、本当に傑作だと思う。
 二つ目は、ドン・シーゲル監督の「白い肌の異常な夜」。これはなんだかエロチックな感じなのかな、というほのかな期待を持たせるような展開で、しかしどんどん恐ろしくなっていくという事になる。ちょっと違うがS・キング原作の「ミザリー」みたいな怖さがあるかもしれない。これも観たのはずいぶん昔で、まだ子供のようなものだったから、これを見たからといって本当に女性の怖さを理解できていたかは分からない。しかしやはり女は怖いものだという事は間違いなくインプットされたわけで、そういう人生訓は生かされているのかどうかは別として、大変に勉強になったという事になるだろう。
 三つ目はジャック・スターレット監督の「悪魔の追跡」。これはある意味で「激突」に少し似ている。楽しいキャンプがちょっとした目撃をしてしまったせいで、ガラガラと引っくり返って悪魔的な世界に激変する。とにかく逃げろや逃げろである。恐ろしいものからは逃げるより他にない。しかしそれで解決するのかは分からない訳だが。それにしてもピーター・フォンダは、イージーライダーと同じくバイクに乗りながら、まったく違った境遇にあって可哀そうである。
 四つ目はクイント・イーストウッドが監督主演をしている「恐怖のメロディ」。イーストウッドは、いまだにいい映画を撮っているが、最初の頃からなかなかいい腕前なのである。これだけ多作でありながら、それなりに傑作を揃えている、もしくはあえて佳作を作るというのは、俳優以上に非凡な才能を持っているためだと思われる。自分自身の姿をよく分かっていて、プレイボーイを気取って痛い目に合うマゾっぽさが見事だ。題名でネタバレになってしまうがマイケル・ダグラスが主演して大ヒットした「危険な情事」の元ネタに違いないだろう。もちろん、こちらが数段面白いのは請け負うところである。
 五つ目はサム・ペキンパー監督の「わらの犬」。バイオレンス描写に定評のあるペキンパー監督らしく、実に暴力が凄まじい。そして本当にそこらのゾンビ映画より数段ホラー度爆発である。これも実は怖い映画とは思わないで観たせいもあったとは思うのだけれど、むしろ最初の頃は、怖い展開になんかなりようがないような静かさもあるんだが、いびつに様々なものが歪んで行って最後に爆発してしまうようなコントラストが素晴らしいのだろうと思う。変な映画だけれど、大変に怖いのでありました。