
とりあえず地球が滅びる前に(全4巻)/ねむようこ著(小学館)
弱小高校女子バスケットボールチームが県大会で優勝しなければ地球が滅亡するという設定の世紀末漫画。突然神といわれるイケメンの男からそう告げられ、かなり戸惑いながらも女子高生という時間を満喫している女の子たちが、日ごろの不満や学校生活・恋も交えながら葛藤し、地球滅亡を防ごうと奮闘するのである。こんな紹介で間違ってないよな、俺。
まあ、かなりめちゃくちゃな内容なんだが、実際にそうなってしまうらしいことはとりあえず信じざるを得ない状況にはなる。だからもちろん、必死になって努力は最小限はやっているということも描かれている。しかしその努力する背景や実際の女の子たちの科白というか考え方には、その状況にあってもなお、かなりずれているというか面白おかしい。それが漫画だからというよりは、そのような彼女たちの個性のようなものが、逆に現代的な女の子たちのリアルな感性を伝えているという逆説的な設定なのである。
そうはいっても、地球が終わるらしいことと、自分たちが楽しく生きていることのリアルさというものには、やはりそれなりにギャップがある。だから終始ふざけきっている状況を抜けることが出来ない訳だが、この無茶な状況を、どうせ無茶だということに本当に気づいて、そうして真剣に無茶なことをやって解決しようと努力することになる。自分たちが何を大切にして、そうして何のために真剣になれるのか、そういう心情においては、大変に真摯に、まっとうに向き合おうとしているわけである。正直に言ってそれでもかなりご都合的なことはたくさんあるわけだが、これがどういう訳か、それなりに感動的ですらある。その開き直りに緊迫感の無さとか、そういうことは無いではないが、けれどそれはギャグとしても面白いし、無茶なりに整合性もあるように思われる。そうして実際にわくわくするような躍動感はしっかりあるわけで、下手なスポ根ものよりも試合においての緊張感と期待ががぜん高まるのである(ま、そういう感じには少なくともなります程度だが)。
設定もだけれどアイデアもいろいろ生きていて、展開もほとんど先が読めない。恋愛のエピソードもかなり重要だし、女子高生の楽しい気分の移り変わりも、男の僕でさえなるほどと感心させられるくらいは分かるような気もする。全4巻というまとまりもいいし、完成度はそれなりに高い。まったく荒唐無稽なのに、この世界観はかなり良くできていると改めて思うことだろう。
正直に言うと、だからどうだというような漫画ではない。しかし単に面白いからいいじゃん、というようなおふざけだけでもない。僕には考えさせられることがそれなりにたくさんあったと思う。僕だって自分の今と将来のことを、あたかも地球が滅亡する前提で真剣に考えたことなど無かったかもしれない。いや、真剣な漫画ではないかもしれないけれど、しかしそういうことはちゃんと伝わるような気がする。楽しくて為になるというのは、あんがいこういうことなんじゃないだろうか。