
よく晴れている。日差しがまぶしくてクラクラしそうだ。雨の後なので空気も澄んでいる。本当にいい天気という感じだ。しかし以前から語りつくされていることではあるが、晴れているからいい天気というのは偏見である。偏見を常識として共有している人が多いということなのだと思う。
パティ・スミスは別にファンでもなんでもなかったが、今度のアルバムはすばらしいと思う。なにより選曲がいい。有名な曲ばかり集めているのでミーハー集ともいえるけれど、意外性も感じる。
演奏も実にすばらしい。原曲の枠組みをしっかり継承して壊すことなく、それでいて独自性がある。聞いていて、思わずウームと唸ってしまう。やられた。不可能だが、僕がこういうことをやってみたかった。なぜだか、そう思ってしまう。音楽は時間が掛かるので遠ざけていたけれど、僕に大きく波が押し寄せてくるような、そんな感じも少しする。もちろん少しするだけで、ずいぶん遠い。
ギターをいじってマリオの曲を練習する。子供のウケ狙いだ。しかし、なんか違うと指摘される。単音が微妙に違うようだ。しかしやっているほうは間抜けだが楽しい。そういえば単音よりノリだったなと思う。僕はひとつひとつの音をそんなに大切にしていなかったのかもしれない。そう考えるとなんとなく愕然とする思いだ。一瞬愕然とし、まあいいかと思う。上手く弾くことには当時からあんまり興味がなかった。うまくいえないが、そういうものを目指していない。ステージで盛り上がらなくてもいい。人が集まって練習するのが楽しいのであって、ある一瞬いい感じになればいい。そういうときは本当にごくたまに、じわりとやってくる。いつやってくるかはぜんぜん分からない。ただ、やってくるまで繰り返し弾き続けるよりないのである。
パティのアルバムにゲストで弾いているトム・バーレインを、一時期こっそり(しなくてもいいが)コピーしていた。ヘタウマというか、上手そうでないところが僕好みだった。パティ本人も「ユニコーンの鳴き声みたい」と書いているようだが、そうなのかもしれない。ユニコーンを幻覚で見た記憶がある。あれは疲れていたのだろうと思う。今では自分でも信じられない。